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むずかしい、再現性が悪いということなどから、診断的価値が最も高いのはこの抗GAD抗体検査で、240点です。おそらく糖尿病を専門にしている医師がいるところなら、外来あるいは入院でこの検査がオーダーされていると思います。
しかし、この検査が陰性だったからといって?型の糖尿病が否定されるものではありません。ということは、消退していくということがあるからです。最初は出ていたけれども、そのうちにこの抗体が陰性になってしまうことがありますから、陰性イコール非?型とはいえない場合がありますが、陽性はイコール?型としていいわけです。血糖値の高い低いにかかわらず、?型糖尿病は自己免疫マーカーを検査することによって診断できる。これにプラスしてほかの自己抗体をもし検索できれば傍証としては非常に有力な情報になりますから、保険の適用はなくても専門の医療機関では2〜3の検査がなされています。
こういう自己免疫異常を起こすバックグラウンドにHLA抗原の特定のものをもっているということがあります。DR3、DR4というようなHLA抗原です。しかし、この抗原をもっているから?型糖尿病になるというものではなく、なりやすい抗原をもっている人が、ある特定の要因が加わることで自己免疫異常が発現し、そしてこのB細胞の破壊がすすんでいく。これが自己免疫型の糖尿病の仕組みであるわけです。ですから、ここで診断しますと何か非常に特殊な糖尿病のように見えるのですが、もっと視野を広げて眺めてみると、この人はもっと前ならこういう状態があったのだということが容易に想像できると思うのです。
抗GAD抗体陽性のGADというのはグルタミン酸脱炭酸酵素のことです。これはGABAを合成する酵素です。γ-アミノ酪酸・GABA合成酵素は脳内にある神経伝達物質と同じものがB細胞の中に含まれているということで、同じ酵素があるということから脳と膵臓が親類関係に

 

 

 

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